文房具好きのニッチな日常

写真少なめ文章多めで買った文房具について語ります。

セーラー G-FREE

セーラーから出ている、低粘度ボールペン、G-FREE。

セーラーの謳っている、重力をコントロールする謎パワーはありませんが、案外使いやすかったので二本目を買いました。

今回はこのボールペンを紹介します。

このボールペンは低粘度ボールペンだと先ほど言いました。しかし、低粘度ボールペンとして、インクそのものに目新しい(手新しい?)書き心地の良さはありませんでした。

低粘度でない、普通の油性ボールペンと比べると、確かに引っ掛かりは少ないです。

ただ、ジェットストリームビクーニャ等の低粘度ボールペンの先駆けと比べると、やはりインク自体の書き味は劣ります。

G-FREEのラインナップにはボール径が0.7mmの物しかなく、正確な比較はできませんでしたが、大体、書き味はOHTOの油性ボールペンより、少し引っ掛かりを強くした感じに近いでしょうか。

旧油性ボールペンと、低粘度ボールペンの間ぐらいのインクです。

ただ、このボールペンのウリは、インクではありません。

このボールペンの最大の長所、というか、セールスポイントは、筆圧アジャスターという機構を搭載していることです。

筆圧アジャスターとは、筆圧をバネのクッションである程度吸収し、書き味を良くする機構、なのだそうですが……。

それをセーラーでは「重力を自由自在にコントロールする」だの「宇宙空間を駆け抜けるような心地よさ」だの言っています。

そこまでの表現は大袈裟を通りすぎて誇張に近しい程ですが、しかし筆圧アジャスター自体は使いようによって書き味がとても向上する物でした。

ここで外観を描写します。

まず一本目、青みのはっきりとした、クリアではないほうのブルー(これをセーラーはEarth、つまり地球と呼称しています)の外観から。

このボールペンは一色で塗り潰したような、一様な青ではありません。

近くで見ると良くわかりますが、青のなかに細かなラメが入っています。

そこまで目立つわけではありませんが、主張し過ぎてうるさくなることもありません。

波のような線の模様も入っています。

恐らく、ラメと合わせて、波のたゆたっている所に、陽の光が反射している様子をイメージしているのでしょう。

三百円でこれなら、結構手が込んでいます。

カラーバリエーションも豊富(八色の軸色があります)なので、デザインにも力を入れているのかもしれません。

また、これは二本目も同じですが、軸のノック部に近い部分が、ほんの少しだけふくれています。

ここに、件の筆圧アジャスターという機構が仕組まれているのでしょう。

ただ、観察してみないと気付きにくいくらいの膨らみです。邪魔にはなりません。

次に二本目の外観です。

二本目に買ったG-FREEの軸色はクリアネイビー、だと、思って私は買いました。

ただ、家に帰ってよくよく見てみると、グリップから上はネイビーなのですが、グリップを含めて下は色が違うようです。

公式サイトで確認してみると、グリップ以下の部分は、クリアネイビーではなくクリアブラックでした。

誰かのイタズラか、不良品なのかはわかりませんが、家に帰るまで気が付かなかったのでよしとします。

そもそも、クリアブラックとクリアネイビーはそれぞれ、スペースブラック、スペースネイビー、と公式サイトでは呼ばれています。

宇宙空間の深い黒、深い青をそれぞれイメージしているので、上手くフィットしているのでしょう。

それはともかくとして、二本目のG-FREEは、光によって印象を大きく変えます。

室内の、LEDやら蛍光灯などの、白い、そしてそれほど強くない光の元では、青はあまり引き立たず、黒の印象が強くなります。

万年筆のブルーブラックインクより、さらに黒を強くしたような色味です。

その深いネイビーの中にも、強く光の当たる部分があるのか、角度によって細く青い線が走ります。

教室の中の陽光など、光が強くなると大きく色味が変わります。

黒が沈んで青みが強く浮き上がり、透明感のある青色になります。

また、光で内部が透けて見え、ねじ山の横縞、インクのリフィル、複雑な機構が、海に沈めたように青みがかって見えます。

私のもっている、ブラックとネイビーが雑ざったような一本では黒いグリップが全体の印象を引き締めます。

普通の、まともなネイビーではどのようなのか、興味をそそられます。

さて、複雑な機構が透けて見えたので、ここからは筆圧アジャスター機構を観察して行きます。

通常のボールペンのノックの機構は、プラスチックのノック部から直接インクのリフィルに直に力が伝わるように接触し、繋がっています。

ただ、G-FREEの場合は、ノック部から一旦バネをはさみ、それからプラスチックの部品があり、リフィルに接触しています。

ノック部からリフィル、また、リフィルからノック部への力をバネが吸収するのですね。

当然ボールペンのチップ、紙面に触れる部分もリフィルの一部です。そのため、チップにかかった筆圧をバネが吸収して、柔らかい書き味になる、ということだと思います。

G-FREEのノック部は、筆圧アジャスターをどれだけかけるか、それを調節するためのツマミにもなっているそうです。

見てみると、黒いノック部には矢印が彫られており、矢印が指しているところによって、筆圧アジャスターがどれだけかかっているのか判断出来ます。

ノック部兼調節ツマミを時計回りに回すと、筆圧アジャスターの効果が弱くなり、反時計回りに回すと、筆圧アジャスターの効果が増します。

この時、時計回りに回す場合より反時計回りに回す場合、つまり筆圧アジャスターの効果を強める時より弱める時の方が、ツマミがすんなり回りました。

これはどういうことだろうと機構を見てみます。

ツマミを時計回りに回す場合はカチカチとノック部が内部で伸び、下に下がってきます。それでバネが圧縮されました。反時計回りはその逆です。

バネが圧縮されると反発は強くなり、筆圧を吸収しにくくなり、バネの圧縮を緩めると反発が弱くなり、筆圧を吸収しやすくなる、という訳ですね。

これで、筆圧アジャスターを弱める時の方がすんなりツマミが回る理由もわかりました。

強めるときはバネを圧縮するための力が必要で、弱めるときは逆にバネから力を受けられるからですね。

機構についての観察が概ね終わったので、次は肝心の書き味です。

正直なところ、普段ノートなどに筆記している時に、劇的に書き味が向上したかと言われると、そうではありません。

使うにつれ、それなりに滑らかでダマもあまり出ないインクのバランスの良さは目立ってきました。

しかし、筆圧アジャスターの効果は、そこまで体感できませんでした。

(無論、体感できない疲れが低減しているかもしれませんが)

ただ、筆圧アジャスターによってかなり書き味が良くなったことが感じられる場面もありました。

それは、コピー用紙を机に直接置いて、それに筆記する場面です。

そのような場面では、硬い机にペンの先がほとんど直接当たります。間には紙一枚しかありません。

そのため、通常のボールペンでは、ペンの当たりが「かつん」と感じられるくらいに、当たりが硬くなります。

書き味も悪くなりますし、疲れます。

その時に、G-FREEで、筆圧アジャスターをかなり効かせると、ペンの当たりが柔らかなものになります。

机に直接紙を置いて筆記するような場面では、G-FREEの書き味に劇的な向上が見られました。

ルーズリーフ派の人にはG-FREEはとても役立つものになるでしょう。

ちなみに、私は一本目のG-FREEにOHTOの油性リフィルを入れています。

このリフィルと同じ径のリフィルは、多機能ペンなどによく使われています。

そのため、引っ掛かりをセロハンテープで作り、長さを揃えると、結構色々なリフィルが入り、可能性が広がります。


セーラー万年筆 G-FREE